【空き家対策】一戸建ては早めの対策を
株式会社野村総合研究所(NRI)は、2040年までの日本の住宅の状況について予測を発表しました。この予測では、新しく建てられる家の数が減り、空き家の数が増えるとしています。特に一戸建ての空き家については、早めの対策が必要であることが読み取れます。
新しく建てられる家の数の予測(2024~2040年)
NRIが2024年5月13日に発表した予測によると、新しく建てられる家の数は、2023年の80万戸から少しずつ減り、2030年には77万戸、2040年には58万戸になると見込まれています。この減少は、持ち家、分譲住宅、貸家の全てで見られます。2040年には持ち家が15万戸(2023年は22万戸)、分譲住宅が14万戸(2023年は24万戸)、貸家が29万戸(2023年は35万戸)になる見込みです。
また、2024年に新しく建てられる家の数は、建築費用の上昇が続くかどうかで変わります。もし建築費用の上昇が止まれば、2024年には86万戸(そのうち持ち家が26万戸)になると予測されています。逆に、建築費用の上昇が続けば、82万戸(そのうち持ち家が21万戸)になる見込みです。
リフォーム市場の予測(2023~2040年)
リフォーム市場は少しずつ成長を続け、2040年には8.9兆円になると予測されています(2022年は約8.1兆円)。これは、古い家を修理したり改造したりする需要が増えるためです。
空き家の数と空き家率の予測(2028~2043年)
最新の「住宅・土地統計調査」によると、2023年の空き家率は13.8%でした。これはNRIが予測していた17.4%よりも低い数字です。予測と実際の違いは、空き家の取り壊しが進んだわけではなく、世帯数の増加により居住世帯が増えたためです。
2043年には空き家率が約25%に上昇すると見込まれています。特に一戸建ての空き家率が上昇する一方で、長屋やアパートの空き家率は減少する見込みです。これは、世帯数増加の中心が一人暮らしで、主に長屋やアパートに住むためです。家族で住む世帯が増えないことで、一戸建ての空き家率が上昇します。
さらに、一戸建ての空き家は腐ったり壊れたりする割合が高いです。2043年には、一戸建ての腐ったり壊れたりする空き家が165万戸に達すると予測されています。これは2023年の82万戸の2倍以上です。このような危険な空き家の増加は、景観や安全の面で問題となります。
まとめ
新しく建てられる家の数の減少と空き家率の上昇は、日本の住宅市場にとって重要な課題です。特に一戸建ての空き家増加とその腐朽・破損は深刻で、社会全体で対策が必要です。空き家を有効活用して中古住宅市場に流通させることや、危険な空き家を減らすための制度改革が求められます。これにより、空き家問題を解決し、安全で魅力的なまちづくりを進めることが重要です。